佐世保相続遺言まちかど相談室の
スタッフブログ
佐世保在住の方の相談(前妻子と後妻子の相続)
calendar_month 2026年01月14日
事例
登場人物と設定
- 被相続人 A(亡くなった父): 遺言書なし。
- 相続人 B(後妻): Aと20年連れ添い、最期まで自宅で介護した。
- 相続人 C(AとBの子): 数年前にAから「住宅購入資金として1,000万円」の援助を受けている。
- 相続人 D(Aの前妻の子): Aが30年前に離婚した前妻との子。長年音信不通だったが、戸籍調査で存在が判明。
回答
Q1:前妻の子Dに連絡を取らなければいけませんか?
A:はい。Dさんを無視して進めることはできません。 遺言書がない場合、遺産分割協議は「法的相続人全員」で行う必要があります。たとえ30年音信不通でも、DさんはCさんと同じ「法定相続分」を持っています。Dさんの同意(実印と印鑑証明)がなければ、銀行解約も自宅の名義変更も一切できません。
Q2:母Bは長年Aを介護してきました。その分、多くもらえますか?
A:「寄与分(きよぶん)」として認められる可能性があります。 Bさんが無償で介護に尽くし、それによってAさんの財産の維持(介護費用の支出を抑えたなど)に貢献したと認められれば、相続分を増やせる場合があります。ただし、夫婦間の協力義務の範囲内とみなされることも多く、他の相続人(特にDさん)が納得しない場合は、裁判所の手続きが必要になるなど非常に難易度が高い議論になります。
Q3:長男Cが昔もらった「住宅資金1,000万円」はどう扱われますか?
A:「特別受益(とくべつじゅえき)」として、持ち戻し計算の対象になります。 Cさんだけが多額の生前贈与を受けていた場合、不公平をなくすため、その1,000万円を「相続財産の前渡し」とみなします。
- 計算方法: 現在の遺産総額に1,000万円を「持ち戻して」合計額を出し、それを基準に各人の取り分を計算します。結果として、Cさんが今回受け取れる額は少なくなります。
Q4:遺産が「古い自宅」しかありません。母Bが住み続けたいのですが、Dさんに渡す現金が足りない場合は?
A:「配偶者居住権」の活用や「代償分割」を検討します。 不動産を売って分けたくない場合、以下の方法が考えられます。
- 配偶者居住権: 自宅を「住む権利(B)」と「所有する権利(CやD)」に分けて評価を下げる方法。
- 代償分割: 自宅をBが相続する代わりに、Bの自分の貯金からDさんに「代償金」として現金を支払う方法。 もしBさんに手持ちの現金がない場合、非常に苦しい交渉になります。
このケースの解決に向けた注意点
今回のケースは「感情的な対立」と「計算の複雑さ」が重なっています。
- Dさんへのアプローチ: いきなり遺産分割協議書を送るのではなく、まずは「お手紙」で状況を説明し、誠意を見せることが重要です。
- 時効の問題: 住宅資金(特別受益)などは、いつの贈与まで遡るかといった専門的な判断が必要になります。